こんな(コロナ)春でも花は咲く…

今年の春はコロナ禍により外出自粛が叫ばれる中、自宅でゆっくりとグラスを傾けた方も多かったのではないでしょうか。

かく言う私も、今年は青森市のお花見行事である「青森春まつり」が中止となり、桜を眺めながら「トゲクリガニ」と「ガサエビ」を味わうという青森の春の風物詩をステイホームで楽しんだわけですが、無口になって「ガニ」をほじくり口に運ぶと改めて旬の食材のおいしさを感じます。

青森市では、桜は4月下旬から5月上旬のGWに見頃を迎え、そして、桜の次に咲く花と言えばりんごの花。毎年恒例の道の駅「なみおか」アップルヒルを会場に開催される「浪岡りんご花まつり」が中止となり、寂しい気持ちもありますが、運動不足解消?のため近所を散歩していると、りんごの街だけあって道路端には可憐なりんごの花が咲き誇っています。青森市の桜の名所である公園各所が閉鎖となり、桜を見る機会を失った私にとっては、散歩中に見るこのりんごの花が貴重なお花見となりました。

さて、桜、りんごと順番に咲いては散っていく花たちですが、さらにその後にリレーする花があります。カシスの花です。カシスは果実を食用とする落葉低木の果樹であり、カシス(cassis)というのは仏名で、英名ではブラックカラント(blackcurrant)、和名ではクロスグリ(黒房すぐり)と言います。

日本でカシス?と一見馴染みの無いように感じますが、青森市では、1960年代に研究者がドイツから譲り受けたカシスの苗木を守り育て、今では国産カシスのトップブランド「あおもりカシス」として、地域に根付いています。
りんごの花が終わる頃、カシスは枝の脇に小さな花を咲かせます。桜やりんごのように花びらを大きく開くような花ではないため、見落としがちですが、よく見るととても可愛らしい花です。その後、花の根元が膨らんで、やがて真っ黒で宝石のような果実を実らせます。

4月上旬に訪れた時には、雪囲いを外したカシスの枝に葉はなく、寂しげであったカシス園地は、現在(5月中旬)では若葉を繁らせ元気いっぱい。その傍らでカシスの生産者さん達は、来たる収穫期に向け、混み合ってきた枝の剪定や下草刈りなど、栽培管理に汗を流していました。

カシスの収穫期は6月下旬からなので、収穫まであと約1ヶ月。生産者さん達は今年も高品質な「あおもりカシス」を消費者の皆さんにお届けするため頑張っています。